(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:市販薬って頭痛に使ってもいいんですか?
頭医:はい、使って大丈夫な場合も多いです。特に、頭痛が軽くて頻度も少なく、日常生活にあまり影響がないようなときには、市販の鎮痛薬(OTC医薬品)が役立ちます。ただし、薬の種類や飲むタイミング、そして注意点についての知識を持っておくことがとても大切です。
Pt:市販薬でも、きちんと知ってから使うのが大事なんですね。どんな薬があるんですか?
頭医:たとえば、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、片頭痛や緊張型頭痛に効果があるとされています。一方で、アセトアミノフェンも使えますが、効き目がやや弱いと感じる人もいて、NSAIDsが使えないときに選ばれることが多いですね。
Pt:市販薬にもいろいろ種類があるんですね。薬を組み合わせたタイプもあるんですか?
頭医:はい、アスピリンとカフェインが一緒に入った複合鎮痛薬もあります。カフェインを加えることで効果が高まるという報告もありますが、このような薬は使いすぎると「薬物乱用頭痛(MOH)」の原因になることがあるので注意が必要です。
Pt:薬物乱用頭痛って、どういう状態なんですか?
頭医:薬物乱用頭痛、つまりMOHは、鎮痛薬を頻繁に使いすぎることで、かえって頭痛が慢性化してしまう状態です。たとえば、NSAIDsを月に15日以上、複合鎮痛薬を月に10日以上使っていると、MOHを引き起こすことがあります。
Pt:薬を飲んでいるのに、頭痛が増えるなんて…怖いですね。
頭医:そのとおりです。だからこそ、市販薬を使うときでも、薬剤師や医師に相談して、正しい使い方を知ることがとても大切なんです。
Pt:確かに、自分で判断して使ってたら、不安になるかも。
頭医:実際に、片頭痛や緊張型頭痛の人の多くが、市販薬だけで対処していて、医療機関を受診していないことも多いんです。そのため、薬局と医療機関が連携して、市販薬の適切な使い方や、必要に応じた受診のタイミングを伝えていくことがとても大事ですね。
Pt:なるほど…薬も使い方を間違えると逆効果なんですね。
頭医:そうです。市販薬を使うときは、「とりあえず自分で何とかする」のではなく、専門家に相談して使うのが安心です。もし、頭痛が日常生活に支障をきたしているようなら、一度医師に相談してみることをおすすめします。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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