(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:漢方薬って頭痛にも効くんですか?
頭医:はい、効く場合がありますよ。実際に、いくつかの漢方薬は頭痛に使われてきていて、経験的に効果があるとされてきました。最近では、少しずつ科学的なデータも出てきて、頭痛治療に役立つことが分かってきています。
Pt:どんな漢方薬があるんですか?
頭医:代表的なものとしては、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、葛根湯(かっこんとう)、五苓散(ごれいさん)などがあります。たとえば呉茱萸湯は、片頭痛や緊張型頭痛に効果が高いとされていて、定期的に飲むことで予防にも使えるんですよ。
Pt:それぞれの薬には、どんな特徴があるんですか?
頭医:まず呉茱萸湯は、血管が関係するタイプの頭痛に使われることが多く、視覚の前兆がある片頭痛にも効果があるといわれています。桂枝人参湯は、胃腸が弱い方に使いやすくて、慢性的な頭痛に適しているとされています。
Pt:釣藤散や葛根湯、五苓散はどうですか?
頭医:釣藤散は、緊張型頭痛や動脈硬化が関係している頭痛に効果があることが報告されています。葛根湯は、肩こりをともなう緊張型頭痛に良いとされていて、必要なときだけ飲む頓服としても使いやすい薬です。ただし、血圧が高い方は使用に注意が必要ですね。五苓散は片頭痛だけでなく、二次性頭痛にも使われることがあり、天気の変化で頭痛が出やすい人にも効果が期待されます。
Pt:漢方薬って、それぞれに向いているタイプがあるんですね。副作用とかは大丈夫なんですか?
頭医:もちろん漢方薬にも副作用はあります。たとえば葛根湯には血圧を上げる成分が含まれているので、高血圧や動悸がある方には注意が必要です。桂枝人参湯も、むくみや血圧上昇がある場合は避けた方がいいですね。
Pt:そうなんですね。漢方薬もきちんと知って使わないといけないんだ。
頭医:その通りです。まずは1種類の漢方薬を1〜2か月試してみて、効果があまり感じられなければ、別の漢方薬に切り替えることもあります。2種類以上を同時に使う場合には、漢方に詳しい医師に相談するのが安心です。
Pt:なるほど。効果が期待できるけど、自己判断ではなく専門家のアドバイスを受けたほうが良いですね。
頭医:特に妊娠中の方や持病がある方は、必ず医師に相談してから使ってください。漢方薬は体質に合わせて選ぶものなので、専門家の判断がとても大切なんですよ。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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