A-21. 頭痛外来、頭痛専門医は必要なの?

頭痛一般

(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)

Pt:最近、頭痛がひどくて日常生活に支障が出ているんですけど、どうしたらいいんでしょうか?

頭医:それはお辛いですね。実は、慢性頭痛は多くの人にとって、日常生活に大きな影響を与える病気なんです。特に片頭痛のような頭痛性疾患は、生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。

Pt: なるほど、でも頭痛ってみんな経験することだし、普通の痛みとあまり変わらない気がして、あまり病院に行く必要を感じていませんでした。

頭医: 実は、慢性頭痛は放置しておくと、生活にかなり大きな影響を与え続けることがあるんです。片頭痛をはじめとする頭痛は、障害生存年数(YLD)という指標で、日常生活への障害負担が非常に大きい疾患だとされています。これは、片頭痛が実際にどれほど生活に支障をきたすかを示すものです。

Pt: そうなんですね。実際、どれくらいの人が頭痛に悩まされているんですか?

頭医: 日本では、約4,000万人が慢性頭痛を抱えているとされています。その中で、片頭痛を持っている人は約840万人で、その74.2%が日常生活に支障をきたしているんです。さらに、頭痛が原因で日本経済にも年間2880億円の経済的損失をもたらしているとも言われています。

Pt: そんなに多くの人が影響を受けているんですね。

頭医: その通りです。しかし、頭痛治療は十分に普及しておらず、多くの人が適切な治療を受けていないのが現状です。例えば、片頭痛の患者さんの約50%しか医療機関に行っていないし、75%の人は市販薬だけで済ませてしまっています。

Pt: それは意外です。どうしてみんな病院に行かないのでしょうか?

頭医: いくつかの原因があります。まず、患者さん自身が片頭痛であることに気づいていないことや、病院に行くことをためらうことが多いです。また、医師側も片頭痛についての認識が不十分だったり、適切な治療が行われていないこともあります。さらに、頭痛専門医がまだ不足していることも影響しています。

Pt: 頭痛専門医ってどういう役割があるんですか?

頭医: 頭痛専門医は、頭痛の原因をしっかり診断し、適切な治療法を提案する医師です。例えば、二次性頭痛(脳腫瘍や脳出血など)をしっかり除外すること、そしてガイドラインに基づいた標準的な治療を提供することが求められます。頭痛専門医がいると、患者さんの満足度や生活の質(QOL)が向上することが多いんです。

Pt: それなら、頭痛専門医のいる頭痛外来に行くのが良さそうですね。

頭医: はい、まさにその通りです。頭痛外来では、専門的な知識を持った医師が診療を行い、頭痛に関する詳しい説明や治療を受けられます。実際、頭痛外来に通うと、患者さんの頭痛強度や生活の質(QOL)が大きく改善するという報告もありますよ。

Pt: それなら、早めに専門医に相談した方が良さそうですね。ありがとうございました!

頭医: どういたしまして!早期に治療を受けることが大切ですから、気になる場合はぜひ頭痛専門医に相談してみてくださいね。

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頭痛の駆け込み寺

頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする

●目的:

頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。

それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。

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※頭痛専門医とは?

日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。

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●島田医師プロフィール

《経歴》

平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員


《学会・専門医》

日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医

▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺

頭痛の駆け込み寺
YouTube企画 頭痛専門医 島田医師による 「頭痛の駆け込み寺」 ●内容: 頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする ●目的: 頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長...

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