(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:薬で頭痛が起きることってあるんですか?
頭医:ありますよ。薬による頭痛には「急性」と「慢性」の2タイプがあるんです。
Pt:えっ、2つあるんですね。どんなふうに違うんですか?
頭医:まず、急性の頭痛は、薬を使った直後に起きます。たとえば、酸化窒素(NO)を出す薬やホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬が原因になることが知られています。
Pt:それってどんな薬ですか?
頭医:たとえば、ニトログリセリンや硝酸イソソルビド(狭心症の薬)がNOを出して頭痛を引き起こすことがありますし、シルデナフィル(いわゆるバイアグラ®︎)やジピリダモール(ペルサンチン錠®︎)、シロスタゾール(プレタール®︎)もPDEを阻害して頭痛を起こすことがあります。
Pt:へぇ、そうなんですね!
頭医:もともと片頭痛や緊張型頭痛を持っている人だと、薬を使った後に普段と同じような頭痛発作が起きることもあります。また、原因がよくわからない急性頭痛もあります。
Pt:じゃあ、慢性のほうは?
頭医:慢性の頭痛は、たとえば鎮痛薬を使いすぎた結果起こるものです。これを薬物乱用頭痛と言います。
Pt:薬を飲みすぎても頭痛が悪化するんですね…。
頭医:そうなんです。それに、一部の薬では脳の中の圧力(頭蓋内圧)が上がって、頭痛を起こすこともあります。この場合、複視(二重に見える)や視力低下が一緒に出ることもあるので注意が必要です。
Pt:どんな薬が原因になるんですか?
頭医:代表的なものを挙げると、
- 酸化窒素供与体:亜硝酸アミル、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド
- PDE阻害薬:シルデナフィル、ジピリダモール、シロスタゾール
- その他急性型の薬:アトロピン、ジギタリス製剤、ニコチン、ニフェジピンなど
- 慢性型で注意すべき薬:蛋白同化ステロイド、アミオダロン、炭酸リチウム、ナリジクス酸、甲状腺ホルモン、テトラサイクリン などですね。
Pt:こんなにあるんですね。知らなかったです!
頭医:そうですね。薬を使うときには、どんな副作用があるかもちゃんと知っておくことが大切ですよ。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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