(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:職場の健康診断とか脳ドックで、頭痛のことってちゃんと見てもらえるんですか?
頭医:はい、最近は産業医や脳ドック医も、頭痛を持つ就労者や健診受診者の医療に積極的に関わるべきだと考えられています。
Pt:やっぱり頭痛って多いんですか?
頭医:職場調査では、片頭痛の有病率が13.2%、緊張型頭痛は29.2%にもなっています。
でも、84%以上の片頭痛の人が『仕事の能率が落ちる』と感じているのに、医療機関を受診している人はたった23.7%しかいないんです。
Pt:そんなに受診してないんですね。
頭医:ええ。別の調査でも、片頭痛の人の6割近くが一度も医療機関を受診したことがないと報告されています。
Pt:経済的な影響もあるんですか?
頭医:もちろんです。欧米のデータでは、仕事を休むことによる損失が月に約198ドル、出勤していても能率が落ちることによる損失が月に約243ドルとされています。
Pt:脳ドックではどうなんですか?
頭医:脳ドック受診者でも片頭痛の有病率は10.2%で、受診率はわずか15.1%と非常に低いんです。
しかも、脳動脈瘤(1.1%)、脳動静脈奇形(0.6%)などの異常が見つかることもあるので、頭痛を軽視してはいけないんですよ。
Pt:なるほど。産業医や脳ドックの先生はどんな役割を果たすんですか?
頭医:産業医は、職場での頭痛の実態を調査したり、啓発活動を行ったりして、働きやすい環境を整える役割を担います。また、頭痛で就労や日常生活に支障をきたしている労働者を、適切な医療につなぐことも大切です。
Pt:脳ドックの医師は?
頭医:脳ドック医は、重大な二次性頭痛(例えば脳出血や腫瘍)を早く見つけて、適切な医療機関に紹介する役割があります。また、一次性頭痛(片頭痛など)で困っている人には、必要な助言や医療への橋渡しをすることが期待されています。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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