(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
◆片頭痛の予防薬について
Pt:最近片頭痛が増えてきたんです…。予防薬ってどういうものがあるんですか?なんか新しい薬も出てるって聞いたんですけど。
頭医:そうですね、最近はCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)やその受容体を標的にしたモノクローナル抗体が、新しい片頭痛予防薬として注目されています。
Pt:CGRPって何ですか?
頭医:CGRPは、片頭痛発作の時に増えるタンパク質の一種なんです。血管を広げたり、炎症を起こしたりして痛みを引き起こすんですが、それをブロックすることで片頭痛を予防する効果があるんですよ。
◆CGRP関連の予防薬
Pt:具体的にはどんな薬があるんですか?
頭医:日本で使える注射薬としては、
- ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)
- フレマネズマブ(アジョビ)
- エレヌマブ(アイモビーク)
があります。いずれも2021年に国内で承認されていて、月に1回または3か月に1回の皮下注射で予防効果が期待できます。アメリカでは、エプチネズマブという点滴型の薬も承認されています。
◆経口薬の開発も進行中
Pt:注射はちょっと苦手かも…。飲み薬はないんですか?
頭医:注射が主流ですが、最近は経口CGRP受容体阻害薬(Gepant系)の開発も進んでいます。
海外では、
- リメゲパント
- ウブロゲパント
といった飲み薬がすでに使われていて、予防にも使える可能性が期待されています。
日本でも今後導入されるかもしれませんね。
◆従来の予防薬
Pt:日本では他にどんな予防薬が使われてるんですか?
頭医:今までも、以下のような薬が保険適用されています:
- ロメリジン(カルシウム拮抗薬)
- バルプロ酸(抗てんかん薬)
- プロプラノロール(β遮断薬)
また、ベラパミルやアミトリプチリンなども、医師の判断で適応外使用されることがあります。
Pt:なるほど、いろいろあるんですね。どの薬が自分に合うか、相談して決めてみます。
頭医:そうですね。片頭痛の予防薬は、発作の頻度や日常生活への影響によって選び方が変わります。ぜひ医師とじっくり相談して、自分に合った治療法を見つけましょう。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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