(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:片頭痛っていろんな種類があるって聞きましたけど、似てるけど違う頭痛もあるんですか?
頭医:そうですね。片頭痛とよく間違われる “一次性頭痛” がいくつかあるんですよ。中でも特に間違えやすいのが、次の3つのタイプです。
① 一次性咳嗽性頭痛(いちじせいがいそうせいずつう)
Pt:咳をすると起きる頭痛ってあるんですか?
頭医:はい、あります。これは咳やいきんだ直後に、鋭い・刺すような痛みが突然起こる頭痛です。痛みの強さは中等度から重度で、1秒から30分くらいでおさまるのが特徴です。
Pt:どこが痛くなるんですか?
頭医:主に両側の後頭部に感じる人が多いですね。悪心や嘔吐はあまり伴いません。そして何より特徴的なのが、この頭痛は平均67歳くらいで発症しやすく、高齢の男性に多いという点です。片頭痛と比べて、発症年齢や性別の傾向が全く違うんですよ。
② 一次性労作性頭痛(いちじせいろうさくせいずつう)
Pt:運動のときに起こる頭痛もあるんですか?
頭医:はい。これは運動中や運動後にだけ起きる拍動性の頭痛です。しかも、悪心、嘔吐、光や音に敏感になるなど、片頭痛に似た症状が出ることもあります。
Pt:じゃあ、片頭痛と間違えそうですね。
頭医:そうなんです。でも、この頭痛の持続時間は5分から48時間と、片頭痛よりやや短い傾向があります。そして、平均発症年齢は24歳と若く、若い男性に多いことが、片頭痛との違いなんですよ。
③ 性行為に伴う一次性頭痛
Pt:えっ、性行為で頭痛が起きることもあるんですか?
頭医:はい、意外かもしれませんが、あります。これは性行為中にだけ起きる頭痛で、後頭部や頭全体が痛くなることがあります。痛みの種類は、鈍い痛み、拍動性、刺すような痛みなど人によって違います。
Pt:それは片頭痛とは違いますね。
頭医:その通り。性行為という特定の行動でのみ起こるという点が、片頭痛との最大の違いなんです。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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