(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:頭痛で病院に行ったら、どんなふうに治療してもらえるんですか?
頭医:まずは、その頭痛が「一次性頭痛」なのか「二次性頭痛」なのかを見極めることが大切です。一次性頭痛の場合は、プライマリケア医(かかりつけ医)と頭痛専門医が連携して治療することで、患者さんの満足度や生活の質(QOL)の向上につながるとされています。
Pt:かかりつけのお医者さんと専門の先生が協力するってことなんですね。どうしてそんな連携が必要なんですか?
頭医:頭痛はありふれた症状なので、つい軽く見られがちなんです。実際、医療機関を受診せずに市販薬で自己対応している人も多くて、薬が効かなくなったり、副作用が不安になったりすることもあります。そうしたときに、まずプライマリケア医が対応し、必要に応じて頭痛専門医につなぐことで、より適切な診断と治療が可能になるんです。
Pt:なるほど、まず身近なお医者さんに相談して、それで解決しなかったら専門医の出番なんですね。
頭医:その通りです。たとえばシンガポールの調査では、プライマリケア医から専門医に紹介された患者さんの多くで、頭痛の痛みやQOLが改善したという報告もあります。患者さん自身も、より専門的な治療を受けられることで安心感があるようです。
Pt:でも、専門医に診てもらうには時間がかかるんじゃないですか?
頭医:確かに、国によっては専門医の予約に数か月かかる場合もあります。例えばカナダでは、待っている間に患者さんが自分で頭痛について学び、セルフケアができるような教育プログラムが作られています。また、専門医とプライマリケア医がオンラインで連携することで、患者さんの通院回数を減らす工夫もされているんですよ。
Pt:なるほど。他の国でも色々工夫されているんですね。

頭医:そうですね。ノルウェーでは、ビデオ通話を使った遠隔診療によって、診察にかかる時間や交通費を減らしています。日本でも、最近はオンライン診療が広がっていて、特に慢性頭痛に対して使われ始めています。
Pt:それなら、通う負担も少なくなりますね。
頭医:ええ。さらに、日本では地域ごとに「頭痛センター」を設けて、プライマリケア医と専門医の連携がスムーズになるような体制づくりも進んでいます。日本頭痛学会も、頭痛の管理が診療報酬で正しく評価されるように働きかけていて、診療の質の向上を目指しているんです。
Pt:頭痛ってよくあるものだと思っていたけど、ちゃんと診てもらうことって大事なんですね。
頭医:そのとおりです。頭痛は放っておくと生活の質を大きく下げてしまいます。でも、医療機関同士の連携やサポート体制が整ってきているので、我慢せずにまず相談してみてくださいね。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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