(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:睡眠と頭痛って関係があるんですか?
頭医:ありますよ。片頭痛の場合、睡眠不足も睡眠のとりすぎも、発作の引き金になることがあります。睡眠のリズムが乱れることは、頭痛にとって大きなストレスになるんです。
Pt:それって他のタイプの頭痛でも起こるんですか?
頭医:はい。たとえば、群発頭痛の患者さんは、深夜に頭痛が起こることが多いんですよ。これは、体内時計(生体リズム)をコントロールしている「視床下部視交叉上核」という場所に何らかの異常があるのではないかと考えられています。
Pt:夜中に頭痛で目が覚めることがあるんですけど、それも関係ありますか?
頭医:それはもしかしたら「睡眠時頭痛」というタイプの一次性頭痛かもしれません。これは夜間に頭痛で目が覚めるのが特徴で、自律神経症状(涙や鼻水など)を伴わないのがポイントです。比較的高齢の方に多くみられますが、若い方にも見られることがあります。
Pt:睡眠時頭痛ってどうやって診断するんですか?
頭医:現在の診断基準では、15分以上4時間以内に続く頭痛で、睡眠中に発症して覚醒を引き起こすことが条件です。以前は「初発が50歳以上」という条件もありましたが、若い人にも見られることが分かってきたため、年齢の条件は削除されました。他の原因(群発頭痛、睡眠時無呼吸症候群、夜間高血圧、低血糖、薬剤の使用過多など)を除外することが大事です。
Pt:朝起きたときに頭が痛いこともあるんですが、それも何か病気のサインなんでしょうか?
頭医:起床時の頭痛がある場合は、睡眠時無呼吸症候群や、頭の中の圧力が高くなっている病気(頭蓋内圧亢進)などが原因のこともあります。ですから、起床時に頭痛が続く方は、脳の検査をして、頭の中に腫瘍などの占拠性病変がないかを調べることが重要です。
Pt:怖い病気のこともあるんですね…。気をつけないと。
頭医:そうですね。また、慢性片頭痛に移行しやすい人には特徴があって、肥満、いびき、睡眠障害、カフェインのとりすぎ、精神的な問題、もともとの頭痛頻度が高いことなどがリスクとされています。
Pt:たしかに、思い当たることがいくつかあります…。
頭医:ほかにも、急性期の薬を飲みすぎることや、大きな生活の変化、頭や首のケガ、皮膚が触れるだけで痛いような過敏な状態(アロディニア)、女性であること、社会的なストレスなどもリスクになります。
Pt:なるほど…。生活習慣や環境を見直すことも大切なんですね。
頭医:その通りです。頭痛の背景にはさまざまな要因が関わっているので、しっかり話を聞いてもらえる医師に相談することが大切ですよ。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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