(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
Pt:頭が痛いときって、すぐMRIとかCTとかの検査をしたほうがいいんですか?
頭医:実は、神経学的な異常がない慢性頭痛の患者さんには、最初から一律に画像検査をするのはおすすめできないんですよ。
Pt:えっ、検査して悪いところを見つけたほうがいい気がしますけど…?
頭医:もちろん、必要な場合は検査します。でも、必要ないのに検査をすると、無駄なコストがかかったり、不安をあおったりするリスクもあるんです。
Pt:じゃあ、どんなときに検査が必要なんですか?
頭医:こんな場合には検査を考えますね。
たとえば、
- ふだんと違う、長引く前兆がある
- 頭痛の頻度や重症度が急に増えた
- 今までで一番ひどい頭痛だった
- 脳幹症状や錯乱、片麻痺を伴う頭痛
- 50歳以上で初めて起こった片頭痛
- 前兆だけで痛みがない
- 毎回同じ側で頭痛や前兆が起きる
- 頭を打ったあとに頭痛が続く
こういうときにはMRI検査を中心に考えます。
Pt:へぇ、MRIのほうがいいんですか?
頭医:はい、CTよりMRIの方が異常を見つけやすいです。とくに小さな血管の病変や腫瘍などを見逃しにくいんです。
Pt:でも検査しなかったら、悪い病気を見逃すこともありますよね?
頭医:その通りです。だから、“検査をするかどうか”は、患者さんの症状や背景をしっかり聞いて慎重に判断します。ただ、一般的な慢性頭痛の場合、検査で危ない病気が見つかる確率はとても低いんですよ。
Pt:検査しなくてもいい人が多いんですね。
頭医:はい。特に典型的な片頭痛の人は、無理に検査をしなくても問題ないと、国際的なガイドラインでも言われています。でも、特別な症状があるときには必ず検討します。
Pt:頭を打った場合はどうですか?
頭医:頭を打ったときの初期診断ではCTが第一選択です。骨の骨折はCTでないとわからないこともあるし、撮影時間も短いので、閉所恐怖症の人や時間がない人にはよいですね。その後も、症状の変化を見ながら、必要なら再検査もしやすいです。
Pt:検査すると安心する人もいそうですよね。
頭医:確かに、画像検査で脳に異常がないと分かると、一時的に安心するというデータもあります。ただ、その安心感は長く続かないこともわかってきているんです。
Pt:うーん、難しいですね。
頭医:そんなんです。検査をすれば安心、という単純な話ではなく、患者さん一人ひとりに合わせて”本当に必要な検査かどうか”を考えることが大切なんです。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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