B-i-13. なんではじめに画像検査が必要なの?

片頭痛

(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)

Pt:頭痛がひどいときって、何か怖い病気が隠れてるんじゃないかって心配になるんですが、どうやって見つけるんですか?

頭医:それは大事な心配だね。危険な頭痛を見逃さないためには、画像検査がとても重要なんだよ。

◆ 頭部CTの役割

Pt:画像検査って、どんなものがありますか?

頭医:まずは頭部CTを行うことが多いよ。出血があるかどうかをすぐに確認できるし、骨の異常も見つけやすい。ただし、少量のくも膜下出血や、脳の奥の異常は見逃されやすいから、完璧とは言えないんだ。

◆ MRIでさらに詳しく

Pt:CTでわからない場合はどうするんですか?

頭医:そういうときはMRIが役立つよ。たとえば、下垂体卒中、三叉神経の圧迫、脳脊髄液減少症なんかはCTではわかりにくいけど、MRIなら見つけやすい。特にFLAIR画像を使うと、少量の出血も確認できることがあるんだ。

◆ 血管の異常を調べる検査

Pt:血管の病気って、どう調べるんですか?

頭医:動脈解離(血管の裂け目)が疑われるときには、MRA(MRIを使った血管の検査)3D-CTアンギオグラフィーで血管の様子を詳しく見るんだ。

◆ くも膜下出血(SAH)の可能性

Pt:最近、突然後頭部がすごく痛くなったんですけど、これって片頭痛でしょうか…?

頭医:雷に打たれたような突然の激しい頭痛だったなら、くも膜下出血(SAH)の可能性もあるから要注意だね。その場合、まずはCT検査が第一選択になるよ。

Pt:CTで何も出なかったら安心ですか?

頭医:発症から12時間以内なら、CTでほぼ100%出血が見つかるけど、それ以降だと見逃されることもあるんだ。そんなときは、髄液検査(腰椎穿刺)でキサントクロミア(出血の痕跡)を調べることが有効だよ。

Pt:MRIでも見えるんですか?

頭医:うん。MRIのFLAIR画像は、CTで見えにくい小さな出血も映るから、状況によってはCTとMRIを併用することもあるんだ。

◆ 鑑別が必要な他の病気

Pt:じゃあ、全部くも膜下出血じゃないんですか?

頭医:もちろん違うよ。強い頭痛を起こす病気は他にもあって、髄膜炎、椎骨動脈解離、下垂体卒中などもあるから、診断には慎重さが必要なんだ。

Pt:なるほど…。普段と違う強い頭痛があったら、すぐ検査した方がいいってことですね。

頭医:その通り! “いつもと違う頭痛” や “突然始まった激しい痛み” は要注意。早めに病院を受診して、CTやMRIなどの適切な検査を受けることがとても大切だよ。

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頭痛の駆け込み寺

頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする

●目的:

頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。

それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。

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※頭痛専門医とは?

日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。

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●島田医師プロフィール

《経歴》

平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員


《学会・専門医》

日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医

▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺

頭痛の駆け込み寺
YouTube企画 頭痛専門医 島田医師による 「頭痛の駆け込み寺」 ●内容: 頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする ●目的: 頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長...

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