B-i-17. MSQ(エムエスキュー:片頭痛の生活への影響)ってなんですか?

片頭痛

(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)

Pt:ねぇ、最近片頭痛がどれくらい生活に影響しているか調べる方法があるって聞いたんだけど、何か質問票みたいなものなの?

頭医:そうそう!それが、MSQ(Migraine-Specific Quality of Life Questionnaire)っていうんだ。日本語では『片頭痛特異的生活の質評価質問票』って呼ばれていて、片頭痛があなたの生活にどれだけ影響を与えているかを客観的に調べるためのツールなんだよ。

◆MSQってどんな内容?

Pt:へぇ〜、それってどんなことを聞かれるの?

頭医:MSQは3つのドメイン(領域)に分かれた14の質問でできてるんだ。それぞれが生活の違った面での影響を評価してるんだよ。詳しく説明するね。

1. Role Function-Restrictive(RFR) 1〜7番目の質問
→ 「片頭痛のせいで、普段の生活や活動がどれだけ制限されたか」を聞かれるよ。
例:「家事や仕事がどれだけできなかったか」など。

2. Role Function-Preventive(RFP) 8〜11番目の質問
→ 「やろうと思っていたことが、片頭痛でどのくらい妨げられたか」を見るんだ。
例:「イベントに行けなかった」「趣味が中断された」など。

3. Emotional Function(EF)12〜14番目の質問
→ 「片頭痛によって気分や感情にどんな影響が出たか」を評価するよ。
例:「不安になった」「ストレスを感じた」など。

Pt:なるほど、体だけじゃなくて心にも影響してるかを見てるんだね。

◆スコアはどうやって出すの?

Pt:でも、それってどうやって数値として評価されるの?

頭医:いい質問だね。各質問には5〜6段階の選択肢があって、たとえば『まったくなかった』から『非常に強く影響した』まで選ぶようになってるんだよ。その回答をもとにして、スコアは0~100に標準化されるんだ。」

Pt:スコアが高いほうがいいの?

頭医:そうだよ。スコアが高いほど、片頭痛による生活への影響が少ない=生活の質が良いってことになるんだ。逆にスコアが低いと、片頭痛による生活への支障が大きいってことだね。

Pt:へぇ、自分の生活がどのくらい片頭痛に振り回されてるかが分かるってわけだね。これは治療の経過を見たりするときにも便利そう!

頭医:その通り!MSQは、治療前後の変化を評価するのにも使われるし、医師が患者さんの生活背景や困ってることを把握するのにも役立つツールなんだ。

MSQの活用例

Pt: じゃあ、そのMSQってどうやって使われるの?

頭医: 大きく2つの場面で役立っているよ。

  1. 個人の治療効果の評価
    → 片頭痛の治療がどれくらい効果的か、改善度を追跡するために使われるんだ。
  2. 公衆衛生研究
    → 片頭痛の社会的・経済的な影響を理解するツールとしても活用されているよ。

Pt: つまり、患者さん一人ひとりの生活の質を把握するだけじゃなくて、社会全体の片頭痛の影響も見える化できるってことね!

頭医: その通り!片頭痛で悩んでいる人の負担を減らすための大切なツールなんだ。

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頭痛の駆け込み寺

頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする

●目的:

頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。

それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。

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※頭痛専門医とは?

日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。

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●島田医師プロフィール

《経歴》

平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員


《学会・専門医》

日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医

▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺

頭痛の駆け込み寺
YouTube企画 頭痛専門医 島田医師による 「頭痛の駆け込み寺」 ●内容: 頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする ●目的: 頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長...

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