(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
◆視覚前兆と脳血流の変化
Pt:視覚の前兆がある片頭痛って、脳の血流がどうなってるんですか?
頭医:いい質問ですね。視覚前兆がある片頭痛では、前兆が出る前から後頭葉(視覚をつかさどる部分)で血流が一時的に低下することがわかっています。そして頭痛が始まるころには血流が増え、そのまま発作中にさらに増えることもあるんです。でも注意してほしいのは、血流が増えても頭痛が起きない人もいること。つまり、血流の変化だけで片頭痛を完全には説明できないということなんですね。
◆前兆のない片頭痛の脳血流変化
Pt:じゃあ、前兆がない片頭痛では血流は変わらないんですか?
頭医:それがまた難しいところで、前兆がない片頭痛では、血流の変化に関する研究結果がバラバラなんです。たとえば、何も変化が見られないという報告もあれば、やっぱり後頭葉で血流が下がっているという報告もあります。つまり、前兆のない片頭痛では、脳血流の変化が必ずしも起こるとは限らないんですね。
◆片麻痺性片頭痛と脳血流
Pt:片麻痺になる片頭痛の場合はどうなんですか?
頭医:片麻痺性片頭痛では、脳血流がかなり複雑に変化するんです。たとえば、麻痺が出た側の脳の血流が下がることもあれば、逆に増えることもある。特に前兆が長引くタイプでは、最初に血流が低下して、その後に増えていくという経過をとることがあるんです。それだけでなく、血液脳関門(脳を守るフィルターのようなもの)が壊れたり、脳がむくむ(脳浮腫)ケースもあると報告されています。
◆発作中の血流変化の特徴
Pt:片頭痛の発作中って、血流はどんなふうに変わるんですか?
頭医:片頭痛発作のあいだにも、血流は時間とともに変化しているんですよ。たとえば、前兆期には血流が低下し、頭痛期には増えるというパターンが多いです。でもこれは、血管の収縮・拡張だけでは説明できません。神経の活動や、血液脳関門の変化など、いくつもの要因が絡み合っているので、非常に複雑なんですね。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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