(Pt:患者 / 頭医:頭痛専門医)
◆片頭痛とてんかんの関係
Pt:片頭痛とてんかんって関係があるって聞いたんですけど、本当ですか?
頭医:はい、本当です。片頭痛とてんかんは、どちらも “発作性” の神経疾患で、共通のメカニズムがあると考えられています。たとえば、神経細胞の過剰な興奮や、グルタミン酸という神経伝達物質の関与があるんです。
Pt:ということは、どちらかを持ってるともう片方にもなりやすいんですか?
頭医:その通りです。片頭痛のある人は、てんかんを発症しやすく、てんかんのある人は片頭痛を発症しやすいと報告されています。これを “共存症(コーモビディティ)” と呼びます。
◆てんかんと片頭痛の相互作用
Pt:片頭痛が原因で、てんかん発作が起きることもあるんですか?
頭医:あります。“片頭痛前兆によって誘発されるてんかん発作(migralepsy)”という状態が知られています。それだけでなく、てんかん発作の後に頭痛が出る『てんかん発作後頭痛』や、発作の最中に頭痛が起こる『てんかん発作時頭痛』というものもあります。
◆診断と区別のポイント
Pt:症状が似ていたら、どっちがどっちか分からなくなりそうですね…
頭医:とても良い視点ですね。特に後頭葉てんかんと片頭痛の視覚前兆は似ているので、発作の持続時間や始まり方、症状の進行などをよく観察することが大切です。てんかんでは数秒から1分以内に急に始まることが多いのに対して、片頭痛の前兆は5~20分くらいかけてじわじわ広がることが多いんです。
◆臨床での対応と治療の工夫
Pt:治療法に共通点はあるんですか?
頭医:はい、実は片頭痛の予防に “抗てんかん薬” が使われることもあるんですよ。たとえばバルプロ酸やトピラマートという薬は、神経の興奮を抑えることで、てんかんと片頭痛の両方に効果があるとされています。
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頭痛の駆け込み寺
頭痛専門医 島田医師がわかりやすく頭痛について解説をする
●目的:
頭痛患者は多く、どの診療科でもよくみられる愁訴に関わらず、頭痛専門医(※)は少ないのが現状である。頭痛専門外来では、1日診られて100名程度、しかも患者1人に付き長くても5分程度しか割けない。そこで伝えきれない内容を補える専門医による情報発信の場をつくる。
それにより、わざわざ外来に訪れなくても解決できる内容や、ネット検索して誤った情報を得てしまう方に対して、安心して専門医の話を聞ける場所ともなる。
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※頭痛専門医とは?
日本頭痛学会が定めた申請資格(医師免許証・頭痛関連学会の専門医・5年以上の研修・頭痛関連疾患に関する発表など)を有し、資格審査および試験により認定された医師。
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●島田医師プロフィール
《経歴》
平成21年杏林大学 医学部卒業
杏林大学医学部付属病院 脳神経外科入局
都立神経病院
杏林大学医学部付属病院
都立多摩総合医療センター
水戸ブレインハートセンター
東京大学医学部 特別研究員
《学会・専門医》
日本脳神経外科学会 専門医、指導医
日本脳卒中学会 専門医、指導医
日本神経内視鏡学会 専門医
日本頭痛学会 専門医
日本医師会認定産業医
▶YouTube : https://www.youtube.com/@頭痛の駆け込み寺
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